GENRE ARCHIVE
分類: 陰謀論
ふさがる渚 — 雨が降った翌朝、石垣につけた傷が消えている
山の斜面を横切る古い石垣の角を、タガネで削り落とした。晴れているあいだ、削った跡はそのまま残っていた。四日目の夜に雨が降り、翌朝には跡が埋まっていた。削り落としたかけらは、まだ俺のポケットにある。
台帳にない基準点 — 山の上の石に、マイナスの高さが彫ってあった
頂上に着いた人間は、決まって足元の石に手を置く。三角点だ。だが誰も、石の側面までは読まない。俺は読んだ。標高千三百四十四メートルの稜線に埋まった石に、「−195.40」と彫ってあった。国の記録に、この石は載っていない。
撤去された公衆電話の欠番を地図に落としたら — 浮かび上がる「機関」の連絡網
撤去されたはずの公衆電話。その番号にかけると、話中音ではなく保留音が返ることがある——誰かが、まだ待たせている。黒須が全国の欠番を地図に落としていくと、海の一点に収束する輪郭が浮かんだ。